【読書】クリストファー・プリースト著「奇術師」

読書
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本のデータ

タイトル 奇術師
著者 クリストファー・プリースト
訳者 古沢嘉通
出版社 早川書房
出版年月 2004年4月30日
ISBN ISBN4-15-020357-1

読むきっかけ

以前、映画「プレステージ」を観て、二人の奇術師の戦いがスタイリッシュでかっこよく、最後に謎がどんどん解明されていくのが面白かったので、原作を読みたいと思って手に取りました。

ふたりの奇術師の争いの物語

ル・プロフェッスール・ド・ラ・マジ(奇術の大先生)ことアルフレッド・ボーデンと、偉大なるデントンことルパート・エンジャによる長年の争いが物語の中心です。

二人とも舞台名が派手でかっこいいです!

これらの二人は、思い込み、頑固さなどがきっかけとなって、お互いの奇術のタネをばらしたり、舞台を台無しにしたりして、仕事の邪魔をするようになります。

それでも、二人ともにトップの奇術師となり、ボーデンが<新・瞬間移動人間>、エンジャが<閃光のなかで>という瞬間移動の奇術を得意としています。お互いにタネがわからないほどの素晴らしいトリックです。

しかし、二人の確執から事故が起こってしまい…。

奇術の舞台裏が楽しめる

この物語では、普段は目にすることのない奇術の練習や、スタッフ集め、他の奇術師に対する思いなど、いろいろな舞台裏が楽しめます。

エンターテイメントとしてマジックやイリュージョンを楽しんでいるときには、考えないことですね!

仲良くして欲しかったなぁ

ボーデンとエンジャは、お互いの奇術を探るため、あるいはお互いの舞台を邪魔するために、それぞれ相手の舞台をお客として見に行きます。

二人はお互い嫌がらせをしている関係なのですが、相手が素晴らしい技を披露すると、心から称賛します。奇術師として尊敬し感動するのでしょうね。

最初のボタンの掛け違いがなければ、お互いを高めあうよい関係が築けたのではないかと悔やまれます。

それぞれの事情がわかって面白い

物語には、ボーデンの手記、エンジャの日記が含まれています。これらを読むことによって、読者は、ボーデン側の視点とエンジャ側の視点の両方から、個々のエピソードを知ることとなります。

一方から見ると、相手が「けしからん」と思えたことも、逆から見ると「そういう事情があったのか。しょうがないなぁ」と思えたりします。

一つの事柄でも、見る方向によって見え方が違うということに、あらためて気付きました。

映画との違い

映画は、小説中のエピソードを再構成して作られています。

小説の方が人物描写が細かく、登場人物の内面に入り込むことができます。

一方、映画は電気仕掛けの奇術装置、衣装などが美しく、目を奪われます。

どちらも、ひとつの作品として完成していて、楽しめますよ。

まとめ

この本は、奇術、マジック、イリュージョン、SFが好きな人には楽しめると思います。

読み返すと、最初に読んだときには気付かなかった仕掛けがいろいろとあって、再読も楽しめます。

ぜひ、読んでみてください。

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