【読書】経済ってそういうことだったのか!

読書
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本のデータ

タイトル 経済ってそういうことだったのか会議
著者 佐藤雅彦、竹中平蔵
出版社 日本経済新聞社
出版年月 2002年9月1日
ISBN ISBN4-532-19142-4

読むきっかけ

経済のことを知りたくて、全体的にざっくり学べる本はないかなぁと思って、手に取りました。Amazonでもベストセラー1位(2018年7月5日現在)だし、わかりやすいものかなと思いまして。

経済全般のことがざっくりわかる!

佐藤雅彦さんと竹中平蔵さんとの対話形式で構成されています。基本的に、佐藤雅彦さんが経済に関する質問をして、竹中平蔵さんが回答するという形式になっています。

話題は、貨幣、信用、株、税金、投資、消費、起業、労働、失業など多岐に渡ります。

もともと2000年4月に刊行された本なので、18年後の今では日本や世界の情勢が変化している部分もありますが、経済の原則部分は変わっておらず、非常に有用です!

この本の中で、私が勉強になったなぁと思う点を挙げています。

第3章 払うのか 取られるのか―税金の話

まず、税金の問題から民主主義が始まったという点。これは、知りませんでした、というか考えたことがなかった。

次に、税金のかたちによって人々の行動に影響を与えるということ。確かに、減税や増税によって人々の行動は変わりますね。

また、歴史的には国家が繁栄したり滅亡したりしたことの例が挙げられています。やっぱり、税金の影響は大きいんだなぁ。

経済学者が議論してきた税に関する原則は、以下の三つに集約されます。

  1. 簡素
  2. 公平
  3. 中立

これは、私も非常に重要だと思います。わかりやすい方がいいですし、公平、中立でないと嫌ですもんね。

私は確定申告をするようになって、税金の複雑さを知りました。しかし一方で、確定申告によって、所得税、住民税、健康保険、年金などを学ぶことになったので、社会の仕組みの一端を知ることができました。これは非常に良かったと思います!

第7章 いまを取るか、未来を取るか―投資と消費

投資と消費は、とても興味があるところです。経済の本や起業の本を読んでも投資と消費(と浪費)について書かれています。

浪費は少なくしようとこころがけていますが、なかなか難しいです。

この章で一番驚いたのは、教育にかかる費用は、経済学的には投資ではなく消費と扱われるということです。

教育とは、自分の知識を高めてより良い人生を送るためのものだと思っていますが、消費と扱われるのですね。著者の佐藤さんも「ちょっとさみしい」とおっしゃっています。同感です。

第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事―起業とビジネス

この章では、起業や経営者の話の具体例がいろいろと出てきます。

心に残ったのは、竹中さんの「ミッションステートメントが明確にならない企業は、マーケットでも成功しない」という言葉です。

「こういう社会にしたい」、「こんな生活にしたい」という思いがあって、その実現のために企業があるという形がスッキリしますね。

また、竹中さんの「出口戦略が重要」という言葉も、大切だと思いました。佐藤さんも「やめる方が決断が難しい」とおっしゃているように、ほんとにやめるのは難しいです。

以前、始める前に終わりを決めておくのがよいと、何かで読みました。例えば、定期的な勉強会をするときに、週一回と決めるのではなく、週一回10月末までと決めるということです。10月末になれば終了して、必要であれば再開すればよいのです。

最初から出口戦略を考えておくのは、いいですね。

会議 その後

この章は、2000年4月に出版された同書名の本に増補された部分です。

ここでは、著者のお二人が二年半ぶりに再会して、当時を振り返りつつ、現在そして未来について対談しています。

この中で、佐藤さんの「世の中はブレーキのないジェットコースターのようだ」という言葉に共感します。この言葉は、この章の前の「終章 ―競争か共存か」にも出てきます。

現在、世の中はものすごいスピードで動いていると思います。コミュニケーション、移動、流行、消費などの速度が上がっています。また、都市は同じような風景となってしまって、世界が均質化していっています。

このことに対して、佐藤さんも竹中さんも懸念を持っておられます。それと同時に、人間は新しいものの恩恵を享受し、適応している面もある。失った怖さや不安のことは忘れているともおっしゃっています。

これを読んで、私も恐怖が和らぎました。

確かに、スピードの増大や均質化によって恐怖を感じます。一方で、情報がすぐ手に入ることや連絡が取れるなどのメリットもあります。そして、以前は不便であったことを忘れて、よいことばかりを覚えています。思い出は美化されるのでしょうね。現状にもそれなりに適応しているのかもしれません。

まとめ

経済について、佐藤雅彦さんと竹中平蔵さんとが対話するという本を読みました。

お金の基本的なところから、税金、国、起業、労働、国際関係、グローバリゼーションなど幅広い話題が取り上げられています。

経済のことを学ぶ、未来のことを考えるには、よい一冊だと思いました。

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